こんにちは!badass tigerです。
競馬の世界でかつて父・内国産馬限定レースがあったのをご存知ですか?
父内国産馬とは、父が国内のレースに走っていてかつその馬も日本国内で生産された種牡馬のことを言います。
というと難しく感じるかも知れませんが今で言うと、ディープインパクトもキタサンブラックもハーツクライも全部父内国産馬です。
でも、今はディープインパクトやキタサンブラックが父内国産馬と言われていません。
それはなぜかというと、2007年に父内国産馬の区別が廃止されたからです。
実は、それ以前日本国内で生まれ走った馬が種牡馬として活躍するのは珍しかったのです。
そこで、父内国産馬推奨のためその分類を作り限定レースなどで優遇しました。
今回は、そんな父内国産馬、通称マル父の時代と父内国産馬がなぜ廃止されたかについてお話ししていきます。
今回の記事はこんなことがわかります。 ・日本の種牡馬の歴史がよくわかる ・日本の競走馬のレベル向上についてよく分かる ・日本の馬生産者の苦労がわかる

カオスな時代の血統馬券!新・種牡馬キャラ [ 本島修司 ]
父内国産馬だらけの現代競馬

このランキングは、昨年のリーディングサイヤーランキングです。
実は、このランキングの12、13、16位以外全て父内国産馬なんです。
2023年現在、重賞レースにおいても全頭父内国産馬ということも珍しくなくなりました。
しかも、このサイヤーランキングにおいてよく知っている馬も多いのではないでしょうか?
現役時代日本で活躍して、そのまま種牡馬になっても活躍できているというとてもいい時代になりました。
しかし、30年前ほどの日本の競馬は、そうではありませんでした。
現役時代活躍しても、引退後種牡馬として活躍できる馬はほんの一握りでした。
次項では、30年前の競馬を見ていきましょう。

亀谷敬正の競馬血統辞典/亀谷敬正【3000円以上送料無料】
父内国産馬不遇の時代
30年前、競馬の世界はオグリキャップの出現と武豊騎手の登場により世間で騒がれるようになりました。
しかし、馬産地では日本の競馬で活躍した馬より海外から輸入した種牡馬がもてはやされる時代でした。
それより以前、70年代から1980年代前半はシンザン(2頭目の三冠馬)、トウショウボーイ(皐月賞馬、テンポイントの永遠のライバル)、アローエクスプレス(種牡馬として1981年リーディングサイヤーに輝く)くらいしか父内国産馬は活躍してませんでした。
それもそのはず、優秀な血統を持つ繁殖牝馬や能力を持つ繁殖牝馬は輸入種牡馬に優先的に配合されていたからです。
そのため、JRAは日本国内における血統の発展や生産の促進のために父内国産馬を優遇してきました。
例えば、父内国産馬限定のレースや下級条件のレースでは父内国産馬奨励賞として賞金が加算されるといった措置が取られていました。
また、父内国産馬限定の重賞レースとして福島でカブトヤマ記念。
中京で愛知杯と中日新聞杯が組まれていました。

昔、ファンドリショウリという中京の父内国産馬限定レース巧者がいました。こういう特定の限定レースに強い馬が出るのもローカル競馬の面白さですね。
その後、ノーザンテーストやトニービンそしてブライアンズタイムなど優秀な種牡馬が輸入されるようになり、更に父内国産馬の立場は肩身が狭くなりました。
そんな中、時々父内国産馬からも大物が出現します。
三冠馬「皇帝」シンボリルドルフの仔トウカイテイオーが皐月賞と日本ダービーの二冠に輝きます。

ニホンピロウイナーからは天皇賞馬ヤマニンゼファーや最優秀短距離馬に輝いたフラワーパークが出ました。
そして、天皇賞馬サクラユタカオーからはあのサクラバクシンオーが出ていますし、他にも多くのG1馬を輩出しています。
そして、サッカーボーイからは菊花賞馬ナリタトップロード、秋華賞馬のティコティコタック、G13勝馬ヒシミラクルが生まれています。
また、メジロライアンやタマモクロスなど父内国産馬の中からもリーディングサイヤー上位に食い込んでくる馬も出てきました。
JRAの父内国産馬優遇措置も功を奏して徐々にではありますが、優秀な父内国産の種牡馬がで出来たのです。
そんな中ら1991年を境に日本の血統が一変してしまう出来事が起こります。

種牡馬最強データ'23~'24 実績と信頼の充実データ [ 関口 隆哉 ]
日本の血統をひっくり返したサンデーサイレンス
1990年、日本の最大手の生産者、社台ファームはアメリカで競走馬として抜群の成績を誇ったサンデーサイレンスの購入を決めました。

サンデーサイレンスが日本に来てからの産駒はざっと並べるだけでも
Wikipediaより引用
- 1992年産
- 1993年産
- 1994年産
- 1995年産
- 1996年産
- スティンガー(阪神3歳牝馬ステークス)
- アドマイヤベガ(東京優駿)
- トゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)
- 1997年産
- 1998年産
- 1999年産
- ゴールドアリュール(ジャパンダートダービー、ダービーグランプリ、東京大賞典、フェブラリーステークス)
- デュランダル(スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップ〈2003年・2004年〉)
- アドマイヤマックス(高松宮記念)
- 2000年産
- 2001年産
- 2002年産
- 2003年産
錚々たるメンバーですね。
この産駒たちが日本の競馬を席巻し、血統の世界でも新たにサンデーサイレンス系と言われる系統が出来ました。
この中でも特にディープインパクトやハーツクライ、ステイゴールドなどは自身の産駒も優秀で、多くのG1勝ち馬を排出しています。
その結果、父内国産馬で優秀な種牡馬が数多く生まれ、父内国産馬を優遇する必要性がなくなったのです。
こうした時代の流れから、カブトヤマ記念が2004年に福島牝馬ステークスに衣替えし、愛知杯も牝馬限定レースになり混合戦になりました。
そして、中日新聞杯も2008年から混合戦になりました。
それに前後して、2007年に父内国産馬のくくりも廃止されました。
2023年現在、内国産種牡馬は日本のリーディングサイヤーのトップ10を占めています。
父・内国産馬は走らないというのはもう完全な死語となったのです。
レベルの上がった馬生産と今後の課題
サンデーサイレンスの出現で日本の馬生産のレベルは著しく上がりました。
サンデーサイレンスの直仔達はその血統を後に繋いでいるだけでなく、更に優秀な仔を出して毎年のように海外の競馬に挑戦しています。

ドバイや香港ではサンデーの直仔が毎年のように勝ってますね!
今年の強いと言われて期待される4歳世代の有力馬のうち、ダービー馬のドウデュースの父はサンデーサイレンスの直仔ハーツクライです。
また、菊花賞を勝ったアスクビクターモアの父はディープインパクトです。言わずと知れたサンデー直仔です。
また、昨年天皇賞秋と有馬記念を連覇したイクイノックスの父はキタサンブラックです。
キタサンブラックの父はブラックタイドと言います。
彼は、ディープインパクトの全兄でサンデーサイレンスのやはり直仔なんです。
アスクビクターモアは、復帰がもう少し先ですがイクイノックスは秋に古馬相手に強かったですし、ドウデュースも先日の京都記念圧勝して幸先の良いスタートを切りました。
今年の競馬は、これらの馬が引っ張って行くことになると思いますが、実は2007年までの区分ではこの3頭とも父内国産馬になるんです。
マル父、冬の時代を知る僕からしてみると夢のような話なんです。
しかし、これから課題もあります。
これらのサンデー系の種牡馬が増えたことによる配合の難しさです。
日本国内では、現在優秀な繁殖牝馬がサンデー系かミスタープロスペクター系ばかりになってしまっています。
これらにサンデー系の種牡馬を配合してしまうと、血が濃くなりすぎて体質が虚弱な馬が生まれてしまいます。

いったら、いとこ同士で子供を作るような物なのでやっぱり体質が虚弱になる懸念がありますね
いくら能力があっても、レースに出せないのでは意味がありません。
その為、海外からこれらの血を持たない馬が輸入されています。
しかし、現状では能力のある種牡馬と繁殖牝馬の血統が偏っているのでそこをどう乗り越えて強い馬を作っていかがが課題になって来ます。

走れ! 金満血統王国 今さら聞けない血統馬券の極意 [ 田端 到 ]
まとめ
今回は、かつてあった父内国産についてとサンデー以後の日本の種牡馬についてお話ししてきました。
日本の生産界では、かつて海外信仰があり父内国産馬は忌み嫌われてきた歴史があります。
その頃と比べると、隔世の感があります。
父内国産馬で世界最強馬を作る!そんな時が訪れるのもそう遠くないのかも知れません。
内国産馬のレベルを上げることに成功した、社台ファームの取り組みに大きな拍手を贈りたいですね。
しかし、今後血統の近親化が進み配合が行き詰まるおそれがあるのも事実です。
今後、日本の馬産がどうなるのか注目して見ていきたいところですね。
それでは、ごきげんよう‼︎

田端到・加藤栄の種牡馬事典 2022-2023【電子書籍】[ 田端到 ]

にほんブログ村
コメント